作業服、夏物と冬物はどう違う? シーズンごとに求められる機能と種類を徹底解説

作業服の夏服・冬服の違い

「仕事で使うから作業服はオールシーズン着ているけれど、いったい夏物と冬物で機能面などの違いはあるのかな?」毎日のように作業服を着用する方々のなかには、上記のような疑問を抱いたことのある人もいるのではないでしょうか。作業服は一般的な衣服と同様に、夏物と冬物で生地の素材や構造・機能の違いなどが設けられています。今回は、作業服について、シーズンごとの違いや使い分け方、防寒の仕組みまで解説していきます。

作業服における夏物と冬物の違い

帯電防止 作業服

いわゆる作業服と呼ばれる衣服にも、夏物と冬物が存在します。具体的にはどのような違いがあるのか説明します。

夏物の作業服の特徴

夏季は汗をかきやすくなるため、基本的に夏物の作業着には薄手で風通しのよい素材が使われています。また吸水性、速乾性など、涼しさを感じやすくなるような仕組みを取り入れた製品が目立ちます。

そして昨今見かけることの多い工夫が「接触冷感素材」の採用です。

接触冷感とは、何か物に触れた際に、ヒンヤリ冷たく感じる感覚のことです。しかし「接触冷感素材」とは、使用されている素材自体が冷たいというわけではありません。

そもそも「冷たい」と感じる感覚は、熱が移動している(=身体から熱を奪われている)ために生じます。熱の移動しやすさのことを、化学の専門用語では「熱電動性」といいます。熱には温度の高い方から低い方へ移動する性質があり、この熱伝導性が高い物体ほど熱を奪う(=触ると冷たく感じる)のです。

レーヨン、キュプラ、麻(リネン)などが特に熱伝導性が高い素材であり、よく「接触冷感素材」として夏場の衣服や冷感アイテムなどに使用されています。

また接触冷感の素材は、繊維中に水分を多く含むことから、素早く汗を吸収して、気化する際に熱を奪う効果もあります。速乾性があり、汗をかきやすい時期でも快適に保つことができるのです。

冬物の作業服の特徴

冬物の作業服の多くは、暖かさを感じやすく保温性能に優れた仕様になっています。

たとえば厚い生地を使っていたり、中綿などが多く混入されていたり、夏物の作業服と比べて、より防寒性能が高い仕様になっています。

人間の身体は風に吹かれることにより体感温度が大きく変化するため、防風効果の高い素材や加工(裾や袖口が絞れる仕様)がなされていることも多いでしょう。そのほかにも、裏地が起毛になっていたり、マイクロファイバーと呼ばれる極細の繊維を用いたり、さまざまな手法を用いて防寒性能を高めています。

また、季節や地域によっては雪への備えも必要であるため、夏服に比べると耐水性が強い製品が多いかもしれません。大雪で衣服が濡れてしまうと、身体の体温を低下させてしまい、同時に体力も低下します。雪への対処策として、素材そのものに防水生地を使用した製品や、ウレタンなどのコーティングを塗布した撥水性の高い製品も多く提供されています。

シーズンごとに作業服を使い分けるメリットとは

フルハーネス着用イメージ

夏季用と冬季用の作業服をそれぞれ逆の時期に着用しても大丈夫ですが、季節ごとに作業服を使い分けると、以下のようなメリットが得られます。

メリットその1:寒暖の差に耐えることができる

当然のことながら、夏は暑く冬は寒いものです。気温の変化によって特徴の違う作業着を使い分けることで、寒暖の差に合わせたコンディションを得ることができ、身体の調子が悪くなることを防ぐことができます。気温に合った作業着を着用して、快適に作業ができるように備えましょう。

メリットその2:その季節に合った機能性を得ることができる

シーズンごとに、作業着に求められる機能は変化します。各季節の気候に合った作業性を得ることが重要です。暖かい時期と寒い時期で機能の違う作業着を着用しわけることにより、仕事の能率を上げることができるのです。

たとえば、夏季に着用する作業服には、汗を乾かしやすくするため通気性や速乾性、冷涼感などが求められます。

そして冬季の作業着には防寒性が求められますが、あまり厚着をしすぎても運動性を損ねてしまうため、軽量かつ保温性能の高い作業服が求められます。

それぞれの季節に合うような、適切な機能性を持つ作業服を選択しましょう。

防寒作業服の構造とさまざまな種類

おもに冬季などの寒い時期に用いる作業着のことを防寒作業服、または単純に防寒着といいます。防寒用作業服にもさまざまな種類が存在しており、それぞれは基本的に以下のような構造・機能を持ちます。

防寒服

防寒作業服

防寒作業服とは、冬の厳しい寒さに耐えるための作業用上着です。一般的な衣服と比べると重量はあるものの、昨今は特殊な化学素材などを使用して、暖かくも動きやすい製品が多く提供されています。

軽防寒服

軽防寒服・アウター

一般的な防寒服よりも軽量であり、簡単に羽織れるタイプの作業服は、軽防寒服などと呼ばれることもあります。

しっかりした防寒服に比べると保温機能や防風機能などに劣るものの、軽さや取り回しの良さにかけてはこちらのタイプが上回ります。

アクティブに動き回ることが予想されるスポーツやレジャーシーンでの活用にオススメです。

電熱服

電熱服(電熱式防寒服)

電気の力を活用して着用者の身体を暖めることのできるアイテムが「電熱服(電熱式防寒服)」です。

ウェアに内蔵された発熱体を温めることにより、短時間で温度を上げることができます。

多くの電熱服は、バッテリーの電圧を変更することにより、3段階ほどの強弱を付けることができます。

防寒小物も進化中

昨今はテクノロジーの進化により、軽量かつ保温性能の高い素材や、撥水性能・ストレッチの効いた機動性など、さまざまな面で機能的な防寒アイテムが多く登場するようになりました。

特に近年は以下のような防寒アイテム・小物が高い注目を集めています。1つ加えるだけで体感温度に大きく違いが生まれるため、積極的に活用していきましょう。

保温インナー

暖かいインナーウェア

昨今のインナーの高機能化には目を見張るものがあります。特に、近年爆発的ヒットを続けている製品が「保温インナー」と呼ばれている類の肌着です。発熱インナーや、あったかインナーなどとも呼ばれています。

保温インナーは、発熱させる技術によりさまざまなタイプが存在しますが、一般的に多く着用されているタイプは「吸湿発熱型素材」を使用した製品です。吸湿発熱型素材のインナーは、身体から出る汗や水蒸気を熱に変換して肌を暖めることができます。某ファストファッションブランドが投入した製品が一大ブームを起こして以降、さまざまなメーカーが吸湿発熱型素材を使ったインナーを制作・提供するようになりました。

高機能手袋

防寒 手袋

化学技術の進化により、手袋も高機能化が進んでいます。

たとえば、複数の素材を組み合わせることにより、手の汗を上手に排出する防湿性能を持ちつつも雨を撥水することのできる製品などが登場しています。

先端の化学素材を使用した手袋は防寒アイテムとしてはもちろん、物を運搬する際などのグリップ力を高める手段としても大変効果的です。

 

作業着は夏物と冬物で機能性が変化する! 着用シーズンによって上手に使い分けよう

今回は、業務などに使用する一般的な作業服について、その種類と構造、夏物と冬物の具体的な違い、最新の防寒作業服・防寒アイテムまで解説しました。

季節に合わせた防寒服を活用することで、作業効率を格段に向上させることができます。

シーズンごとに上手に使い分けて、快適に業務をおこないましょう。

ユニフォーム相談窓口