ファン付きブルゾン(空調服(R))は自作できるの?(2024/3/12更新)

空調服(R)は自作できるの?

空調服(R)は風を服の中にファンを使って送り込むこともので、熱中症を防ぐのに効果的です。ですが、市販の製品は1着当たり1万円以上するものも多く、コストを下げることができればと考える人がいるのも事実です。そこで、空調服(R)を自分で作れば安くできるのではないかと考えるのも当然です。

キットを買う

空調服(R)を作るに当たっては、ブルゾンとファン、バッテリーがメインのパーツとなります。それに加えて、ケーブルやファンなどを固定するためのパーツも必要となります。こうした部品はある程度バラ売りされています。本来は完成品の交換用の部品として売られているものですが、それらを組み合わせて自分で作ることも可能です。

完全自作で作成する

空調服(R)キットとして販売されているパーツではなく、汎用品を購入して完全に自分で作ることもできます。そのためには、ブルゾンに収まるサイズや形状を選ぶ必要があり、場合によってはうまく収めるために加工をしなければなりません。

キットでの制作方法

キットの便利な点は、ファンを装着するための穴をブルゾンに空けるのが楽であるということです。ファンの形状に沿ったワッペンがキットの中に含まれていて、それを使うとピッタリの穴を空けられるからです。このワッペンを使って穴を空けたら、その部分にプラスチック製の固定具を取り付けてファンを装着します。その後、ファンに接続するためのバッテリーを収納するためのポケットをつけます。内ポケットが元々付いているブルゾンであれば、そこにバッテリーを入れてケーブルを這わせるだけで十分です。

完全自作の制作方法

空調服(R)を一から作るためには、小型で十分な風を送り込めるファンを選ぶところから始まります。ファンだけは空調服(R)用のものを使うと便利ですが、パソコン用のファンなどで代用することも可能です。その際には、安全性を確保するために、必ず適合する電圧と電流のバッテリーを選びましょう。そのファンの形状に合わせて、テープや厚手の生地を使って枠を作り、送風口になる部分だけパンチなどで穴を空けます。ファンはテープで固定して、服との間に隙間ができないようにします。
ファンの電源を取るためのバッテリーを内側のポケットに収納できるようにします。この際、胸ポケットにしてしまうと、そこが膨らんで空気の流れが悪くなるので、収納は下側にした方が効果的です。配線が邪魔にならないように、糸でまとめたりテープで貼ったりして、ファンとバッテリーをつなぎます。

自作するメリット

キットにせよ、完全に自分で調達するにせよ、既製品を購入するよりも自分で作った方がメリットとなるケースもあります。

メーカー製より安い

一番大きなメリットは、やはりコストカットできるという点でしょう。特に、ほとんど使っていないモバイルバッテリーや不要になったファンなどがあれば、材料費をかなり抑えられます。キットを購入しても、数割程度安くなりますので、お得に空調服(R)を手に入れるには適した方法と言えます。コストを考えた場合に、メーカー製だと1万円程度はかかりますので、自分で作りたいという気持ちが出てくるのは自然です。

自身の好きな服に取り付けられる

自分の好みのデザインや使い慣れた服を空調服(R)に変えられるというメリットもあります。仕事場によっては決まったユニフォームしか着用できないというところもありますので、それに空調機能を付けられれば、涼しい環境で仕事ができるようになります。また、自分好みのデザインの既製品が見つからないということもあるでしょう。仕事やアウトドアシーンなどで、デザインにも気を遣いたいという人であれば、好みの服を空調服(R)に変えられるのは良いアイディアです。

自作するデメリット

こうしたメリットがある一方で、いくつかの注意したいデメリットもあります。せっかく作っても機能を果たせないこともありますので、注意しましょう。

作る手間が大変

やはり作る手間がかかるのは、キットでも完全自作でも一緒です。特に、ファンの形状にぴったり合うように穴を空けて固定するというのは、空調服(R)としての機能に直接影響する部分なので、慎重に作業しないといけません。慣れないと、服にキレイな穴を空けるのが難しいものです。また、完全内製の場合は、ファンやバッテリー選びも大変です。できるだけ軽くて十分な風量があるもの、そして小型で薄く、服に取り付けやすいファンにしないといけません。そして、電圧などが合うバッテリーを見つけてくる必要もあります。

メーカー製に比べて涼しくない

実際に作ってみると、メーカー製よりも涼しくないというのはよくあることです。メーカーはファンの適性や位置を研究した上で作っていますし、固定部分の隙間もゼロにしています。空気の流れを考慮して服自体も設計していることが多く、同じ風量でもより涼しく感じられるということもあります。ファンからスムーズに首元などに空気が流れるように、服のふくらみやポケットの配置などを考慮しているからです。こうした点を考えると、やはり性能という面ではメーカー製の方が優れているものです。

すぐに壊れてしまう可能性も

耐久性という点でも、既製品に軍配が上がります。しっかりとファンが固定されているため、配線がずれることなく、接触不良などの故障が生じにくいです。内製だとどうしても強度が弱く、ずれやすく、配線が外れてしまったり、ケーブルが傷んでしまったりすることがあるのです。また、ファンそのものが落ちてしまうこともあります。空調服(R)は電気を使っているため、故障すると発火するなど、安全性に影響を及ぼすこともあります。単に壊れるだけであればしょうがないということで済みますが、それでケガをしたら大変ですので、安全性だけはしっかりと考えましょう。

結局どちらがいいの?

こうしてメリットとデメリットを比べると、どちらが良いのかと悩んでしまうかもしれません。総合的に見てどう判断すべきなのでしょうか?

自作はコストが安くつくがどうしてもの場合以外はメーカー製のものがオススメ

コストを下げるという意味では、キットを使うにしても、全部自分で作るにしても、内製の方が安く済みます。しかし、耐久性という面で考えると、メーカー製の方がおすすめです。長持ちしますし、激しい動きをしたり圧力が加わったりしても、壊れにくかったりします。長い目で見るとメーカー製の方がずっと使い続けられますので、お得になると言えるでしょう。そして、機能という点でも、メーカー製の方が優れていることが多いです。特に、空気の流れをよく研究しているので、いつでも涼しく感じられるというのは大きいです。空調服(R)を着る理由は涼しさを求めるところにありますので、その部分でメリットが大きな既製品を選ぶ理由は十分にあります。さらに、安全性という面でもやはりメーカー製の方が良いでしょう。自作品には発火するなどのリスクが伴いますので、安全に作業をするためにも、故障が少ないものを選ぶことをおすすめします。
どうしても決まった服にファンを付けないといけないといった理由がある場合は、キットを使うなどして自分で作る意味があります。しかし、そうでないのであれば、総合的に見て、メーカー製の空調服(R)を購入した方がおすすめです。空調服(R)を使うシーンなどを考えて、ベストな選択ができるようにしましょう。