ファン付きウェア(空調服(R)・空調風神服)の歴史は意外に古い!?空調ウェアの進化と歩み(2024/3/12更新)

空調服の進化と歩み

近年、ファン付きウェア(空調服(R)・空調風神服)の知名度は急激に上昇しています。
これまでは建設現場などを始めとした便利な作業服としての認知に留まっていました。これが最近になって大きく変化し、キャンプなどのレジャーや屋外でのスポーツ観戦などでも広く使われるようになっています。とはいえ、これほど広く支持を獲得するまでの道のりは決して容易なものではなかったのです。実際、開発から今日までの歴史を振り返ると、日の目を見るまでには幾つもの困難を乗り越える必要があったことが分かります。実際、発売当初はまったくと言って良いほど注目されていませんでした。

開発のアイデアはどこから生まれたのか

株式会社空調服が開発した、作業服における新ジャンルにもなったファン付きウェア。その開発につながるアイデアが生まれるきっかけとなったのは、1人の社員が東南アジアで人々の生活を観察したことです。そこは日本以上に高温多湿で、エアコンがなければ快適に過ごすのは非常に難しい環境だったと言います。とはいえ、そのエリアですべての人がエアコンを所有するようになったら、エネルギー政策は立ち行かなくなるのではという懸念からアイデアを膨らませることで、現在の空調服のベースとなるアイデアが誕生したのだそうです。そこから開発チームによって具体的な素材選びや搭載する冷却システムなどの検討が行われることになり、歴史的な商品の基本プランが組み上げられていったのです。
開発初期は水冷モデルであったものの、重量や着用した後の動きやすさ、1着を製作するのにかかる費用などを考えると実用化は難しいということから、ファンを使用した現在の空冷モデルへと切り替えられました。実用化された製品として作業服市場へ投入されたのは2004年のことでした。
空調服のアイデアは

発売初期はメーカーの苦闘が続いた

「体を冷やしてくれる作業服」というコンセプトに基づいて空調服(R)の開発には成功したものの、発売当初はほとんど注目を浴びることはありませんでした。というのも、発売当初は現在のようにハイパワーのリチウムバッテリーではなく1.5V電池を電源としていました。そのため、ファンから送られてくる風量が非常に弱く、着用している人も思ったほど涼しいと感じることができなかったのです。また、ファンの駆動による消費電力が大きく、すぐに電池切れになってしまうという苦情も少なくありませんでした。そのため、評判は芳しくなく、売れ行きもなかなか伸びなかったと言います。とはいえ、「もっと性能が良くなったら大規模に導入しても良い」という反応も多く、そうした声を励みとしてさらなる開発が進められることとなりました。

空調服の売れ残り

東日本大震災が大きな転機となる

空調服(R)が広く知られるきっかけとなったのは、2011年に発生した東日本大震災でしょう。歴史的な大災害の影響により発電のキャパシティーが低下したため、各地で電力不足に関する懸念が発生しました。そのため、限られた電力をより有効活用できるアイテムに注目が集まるようになったのです。また、災害後の復興支援では大勢の人が長期間復旧作業に従事しました。その中で、夏場の炎天下でも快適に作業ができるアイテムとして空調服(R)が取り上げられることが増え、全国的な知名度を獲得することにつながったのです。
残念ながら、2011年以降も地震や大雨、台風などによる自然災害が各地で頻発しました。そうした難しい状況において、弊社で取り扱う空調服(R)・空調風神服製品が少しでも復興作業へ従事する皆様のお役に立つことができたという点はとても嬉しく、光栄に感じております。
地震

省エネ・温暖化対策の一環として注目を浴びる

2011年以降、官民一体となって省エネやエコに対する意識が高まりました。2014年に行われた京都議定書の温室効果ガスに関する報告も温暖化対策に対する認知度向上に貢献しました。その結果、節電に対する取り組みが増え、オフィスで使用しているエアコンの設定温度を28度にするキャンペーンやクールビズなども行われました。そうしたキャンペーンの一端として、ファン付きウェアに関しても休憩室などの節電に大きく貢献できるということから、建設現場や鉄工所などで積極的に導入する企業が増えていきました。
温暖化の影響によって、夏の炎天下で作業していた人が熱中症で倒れるというニュースが数多く報道されるようになったことも、注目を浴びるようになった背景として挙げられます。導入までのプロセスがシンプルであり、メリットや有効性が確認しやすいということから、企業だけでなく個人として購入する人も徐々に増えていく結果となったのです。
省エネで空調服が注目

ワークウェアメーカーによる熾烈な開発競争が始まる

ファン付きの作業服は当初、株式会社空調服のみが開発・販売を行っていました。とはいえ、その有効性が広く認知されるにつれて、作業服を手掛ける多くの服飾や工具メーカーが開発競争へ参入するようになります。その結果、より機能的なモデルが数多く販売されるようになりました。加えて、熱中症予防に対する高い効果が確認され、雑誌やテレビを始めとしてさまざまなメディアで取り上げられるようになると、市場規模が大きく拡大していきました。そこからさらに顧客層を広げるため、現場作業用だけでなく、農作業用やスポーツ用としての用途を模索するメーカーが登場し、大手スポーツメーカーとコラボレーションした空調服(R)・空調風神服なども登場するようになったのです。
競争

ユニークな特徴を持つ高性能モデルが市場を賑わせるようになる

他のメーカーと差別化を図るため、より高性能のモデルを販売するメーカーが登場するようになりました。バッテリーを大容量化することで連続使用時間を延ばすことに成功したメーカーもあれば、よりハイパワーの送風ができるようバッテリーを改良したメーカーもあります。また、ファンの形状を調整することで風の循環効率を高めることに成功したというケースもあり、ファン付きウェアの機能性は短期間で格段に向上しました。また、ハーネス対応など、ユニークな特徴を持つモデルも登場します。このようにして、毎年のように各メーカーから異なる特徴を持つ製品が数多く発売されるようになったのです。

デザイン性とクオリティーを両立させたファン付きウェアに人気が集まる

作業服専門メーカーだけで占められていた市場に国内外からさまざまな衣料品メーカーが参入してきたことで、空調服(R)・空調風神服のデザイン性や機能性は大きく向上しました。ファンに近いお腹周りだけでなく、背中から首や頭までしっかりと涼しい風が届くようになっています。これまで一般的だった長袖タイプに加えて、半袖タイプやベストタイプも登場しており、細かい作業をするので手元をできるだけフリーにしたいという人たちから好評です。また、デザインも多様化しており、無地だけでなく幾何学柄やカモフラージュ柄など、作業時だけでなく普段使いもできるおしゃれな製品も数多く販売されています。女性が使いやすいようユニセックスタイプのモデルを発売しているメーカーも少なくありません。このように、選択肢が非常に多くなっているので、誰もが自分に合ったものをチョイスできるようになってきています。
デザイン性の高いファン付きウェア

まとめ

ファン付きの作業服に関する歴史を紐解いていくと、今日の知名度を獲得するまでには、開発・販売の双方において並々ならぬ苦労と努力があったことが分かります。とはいえ、そうした難しい状況下でもあきらめることなく事業を継続できたのは「カスタマーにとって本当に役立つ製品を届けたい」という変わらぬ願いがあったからです。温暖化による気候の変化に伴い、需要はさらに増大していくと予想されていますから、お客様のご要望に応えられるクオリティーの高い製品を常にお届けできるよう全社一丸となって邁進してまいります。