こんな空調服の着かたは意味がない!!(2024/2/26更新)

空調服の使い方

空調服は適切なアイテムを適切な方法で

夏場でも快適に過ごすことができる空調服。作業効率をアップさせるだけでなく、作業員の健康と快適性を保つ意味でも非常に役立つアイテムです。ただ、ファンを搭載し、バッテリーで動かすという精密機械としての面を持ち合わせているだけに、適切な商品を、適切な使用方法で使用しないと十分な効果が発揮されないという難しい側面もあります。

例えば火や高熱を扱う現場、屋外で長時間を過ごす現場、ハーネスを使用する現場など、作業現場や業種によって求められる機能や素材の特徴は異なります。よって、売れ筋や評価の高い製品を選ぶだけでは不十分で、自分たちが求めている機能を備えているか、作業現場に適合しているかを重視して選ぶことが大事です。

正しいサイズの選び方

空調服の選び方の中でも特に重要なのがサイズです。空調服の特徴はファンを稼働させることで服の内部の空気を循環させ、通気性をもたらし冷却効果を発揮させる点にあります。よって、あまりタイトな、またはきつすぎるサイズを着用していると空気の循環がうまくいかなくなってしまうのです。正しいサイズを選んでこそ、効果を最大限に得ることができます。

空調服の特徴として空気を循環させることで膨れ上がる点が挙げられます。それにより、はじめて着用するときにはなんだか着ぶくれして見栄えが良くないような印象を受ける人もいますが、これは空調効果が発揮されている証拠です。この膨らんだ状態を避けるためにタイトなサイズを選んでしまうと肝心の空調効果が充分に発揮されず、冷却効果が役立たなくなる恐れもあります。

ですから基本的には普段着ている服よりもワンサイズ大きめのものを選ぶことになります。もちろん大きすぎると今度は体を動かしにくくなるなど作業効率に影響が生じますから、あくまで快適に体を動かせる範囲内での話です。快適に体を動かしつつ、快適な冷却効果を味わえる、バランスの取れた「大きめな」正しいサイズ選びを心がけましょう。

空調服のサイズ

目的・仕事内容に適した空調服を選ぶ

先述したように着用目的や仕事内容に適した空調服を選ぶことも、サイズと並んで非常に重要な部分です。例えば農作業や建築現場、物流の作業現場では屋外で過ごす機会が多くなるため、紫外線のダメージが問題となります。いくらファンの冷却効果が優れていても紫外線を浴び続ける環境だとどうしても暑さや不快感が気になりますが、そんな時にはUVカット効果を備えた空調服が適しています。

また溶接作業などでは袖口が邪魔になるので長袖が適さないケースもあります。物を運ぶ物量の現場では腕を持ち上げるなど腕の可動域が広い作業が多く、腕・肩まわりを自由に動かしやすいベストタイプのほうが適しているのです。空調効果の観点からすると長袖タイプがもっとも適しているのですが、あくまでケースバイケースで、長袖が適していない現場・仕事内容では半袖・ベストタイプを選ぶようにしましょう。

他にも素材の問題もあります。高温や火と身近に接する現場ではポリエステル100パーセントの素材は溶解してやけどを起こすリスクもあります。そんなときには綿100パーセントや混紡素材のものを選ぶなど、安全に利用できるための配慮も必要になってきます。

空調服の使用用途

バッテリーやファンの性能を知る

冷却効果のポイントとなるのが搭載されるファンとバッテリーです。これらの性能もしっかりとチェックしておきましょう。ファンの場合はサイズや回転数などで空調効果をチェックすることができます。また同じ会社の空調服の場合、同じファンを使い回すことができる場合もあります。

さらにファンの中には風向きを自由に変えることができるタイプもあります。例えば「胸の部分がちょっと暑いからその部分に空気を重点的に当てよう」といった場合に自由に動かすことができるのです。そこまで性能を求めない人も多いかも知れませんが、こうした機能を備えたファンもあることは覚えておいて損はないでしょう。

バッテリーに関してはどれだけ連続して使い続けられるかがポイントです。あとは耐久性で、通常のバッテリーは500回程度の充電に耐えられるようになっており、2年程度は使うことができます。使用環境によって充電の頻度も異なりますから、2年程度持ちそうなバッテリーを選んでみましょう。なおファンの耐久性は4年程度です。

ファンとバッテリーを選ぶ

さらに空調服の効果UP

空調服の効果を高める方法もあります。とくに重要なのはインナーの着用です。暑い時期は発汗が気になりますから、吸汗性に優れたインナーとセットで着用することで冷却効果がアップし、ひんやりした感触が高まるとともに快適な環境で体を動かし続けることができます。逆に吸汗性が悪い、インナーを着用していないなどの環境で使用すると汗がベタついて不快で、内部が蒸れてしまいせっかく空調効果をもたらしても十分な効果が得られず、さらには汗を空気循環に晒すことで体を急速に冷やして体調を崩してしまうという問題を引き起こす恐れもあります。

空調服の効果

着用しても涼しくない時に考える事

もし着用しても涼しく感じないときには正しい使い方をしているかを改めてチェックしてみましょう。もっとも重要なのは空調服の密封性です。半袖やベストタイプよりも長袖タイプのほうが高い冷却効果が発揮されるように、服の内部でしっかり空気を循環させるためにも密封性を維持することが大事です。例えば暑いからといって首元を緩めていると、そこから空気が逃げ出してうまく空気を循環させることができません。服をしっかり密封させているかどうかをチェックしてみましょう。

それからファンの風量が弱く充分な空調効果が得られていない可能性もあります。そんな時にはファンとバッテリーが劣化していないか、以前に比べて風量が低下していないかを確認してみましょう。

空調服の正しいお手入れ方法

メンテナンスがいい加減なままシーズンオフに保管しておくと、次のシーズンに着用したときに性能が劣化して十分な効果が得られない恐れもでてきます。

手入れのポイントは、服は定期的にちゃんと洗濯して清潔な状態を心がけることです。なお素材によって洗濯方法は異なります。綿100パーセントの場合はサイズが縮む可能性があるので要注意で、色落ちしやすいので他の衣類と洗濯する時には注意しましょう。一方ポリエステル100パーセントは洗濯時にとくに注意すべき点はありませんが、高温に弱いので長時間日差しに晒すなど高温で乾燥させていると劣化する恐れがあります。

ファンは、シーズンオフにたたんでしまうときに折れ曲がったりしないように気をつけることと、バッテリーは充電を30~50パーセント程度にしたうえで保管しておくのがポイントです。

買い替えのタイミングは?

買い替えのタイミングはファンとバッテリーに大きく左右されます。もちろんそれぞれを別個に買い替えてもよいですが、服も劣化が気になるようなら一新するのもひとつの選択肢でしょう。先述したようにファンは4年程度が買い替えのタイミングです。4年経てばより性能の良い新製品が登場するので、現場の状況なども考慮したうえで買い替えを検討するとよいでしょう。

空調服の買い替えのタイミング

まとめ

空調服は選び方と使い方の両方がとても重要です。しかも一年中使い続けるものではないため、使っている時はもちろん、使っていないシーズンオフにもメンテナンスが必要になる面もあります。高価なものを購入すればよいのではなく、きちんと使いこなすことができるかが問われる服とも言えそうです。