【お仕事服 大百科】調理師・コックの仕事服ってどんなウェア?

コックの仕事服

【お仕事服 大百科】調理師・コックの仕事服ってどんなウェア?

私たちに美味しい料理を届けてくれる調理師・コックというお仕事。

身近な職業のひとつであり、実際の仕事の現場を目にする機会も多いことでしょう。

そんな調理師・コックの仕事着ですが、実にさまざまなタイプのものが存在します。

今回は、調理師・コックの仕事服について解説します。

調理師・コックの仕事内容

調理師・コックは、食材を調理して料理を提供することがメインのお仕事です。

レストランや宿泊施設、学校など、さまざまな勤務先で働き、多様なジャンルの料理を作ります。

そのため、仕事用のウェアには清潔感や抗菌性、機動性など、働く環境や作る料理に合わせてさまざまな条件が求められます。

エプロン

調理師・コックの仕事服の歴史

調理師・コックという仕事は古くから存在します。そのため、仕事をする際に着用する衣服にも長い歴史があります。

コックコートとは?

調理師・コックをイメージするときに着用している白衣のようなユニフォーム。あの服はコックコートといいます。

コックコートは前開きになっており、前合わせの部分が二重になっているため、油やお湯からの火傷を防ぐことができます。

また紐やボタンも、耐久度が強く熱に強い素材を使用していることが多いことから、割れたり溶けたりして料理に入ってしまう可能性を低下させます。

白衣の白い色も汚れが目立ちやすく、逆にいえば白さを保つことによって、お客さん側に清潔さや調理の腕をアピールすることができます。仮に汚れてしまった場合においても、前合わせを逆にすることにより、汚れを目立たなくさせることができるのです。

くわえて、長い袖は鍋つかみ代わりにもなり、忙しい時には重宝します。

すなわち、コックコートという衣服は、調理師・コックの業務においてさまざまなメリット を備えた作りになっているのです。

コックコートの歴史

このコックコートですが、本格的に着用されるようになったのは19世紀頃のヨーロッパとされています。

フランスの英雄・ナポレオンが着ていた軍服・ナポレオンジャケットが原型となっており、ダブルの前合わせなどの実用的な要素が調理師・コックにも響いたのではないかと言われています。

コック帽の歴史

調理師・コックの服装のなかでも、アイコン的な役割を担っており、特徴的なアイテムがコック帽です。

コック帽は髪の毛や汗が料理の中に入らないようにする効果があり、清潔感を感じさせます。また通気性も高く、頭部が群れにくくなるという効果もあります。

コック帽の由来には諸説あり、そのなかでも以下の2つの説が有力だそうです。

フランスのパティシエ「アントナン・カレーム」

1700年代から1800年代に活躍し、フランス料理の発展に貢献したとされるパティシエのアントナン・カレーム氏。あたらしい料理の考案や著書の執筆など、調理に関する広範囲にわたる活動が評価され、「国王のシェフかつシェフの帝王」とまで呼ばれていた人物です。

このカレーム氏が、ある日客がかぶっていたシルクハット帽を気に入り、同じような帽子を調理中にかぶり始めたことがコック帽の始まりだといいます。

人気シェフだったアントナン・カレームのスタイルが徐々に流行していき、今のコック帽につながっているという説です。

【オーギュスト・エスコフィエ説】

フランスにかつて存在した天才的ホテルマンオーギュスト・エスコフィエは、リッツ・ホテルチェーンの総料理長を務めていました。そしてフランス料理の正典的な書物である『料理の手引き』の著者でもあります。

またエスコフィエ氏は、コース料理での「料理を一品ずつ配膳する形式」を考案したとされており、前述の功績と合わせて大きく讃えられ「近代フランス料理の父」と呼ばれています。

偉大なエスコフィエ氏ですが、身長の小ささがコンプレックスだったのか、自分を大きく見せて背の高い帽子をかぶって威厳を示そうとしたとかしないとか。

そのようなエピソードがあり、やがてスタンダードなスタイルとして、現在のコック帽として広まったという説もあります。

ちなみに、日本の帝国ホテルにおいては、このリッツ・ホテルチェーンに勤務していたコックがこのエピソードを伝えたことにより、現在でも役職や勤続年数に応じて帽子の高さを変更しています。そのため、帝国ホテルのスタッフは今もこちらの説を支持しているそうです。

調理師・コックの仕事服の必須条件とは?

調理師のユニフォーム

調理師・コックという仕事においてウェアに求められる条件は、以下のような要素を持つものです。

動きやすさ

調理師・コックは、手先や腕まわりを使った動作が多いため、作業性の高い服であることが重要です。

ストレッチ性の効いた素材や、軽量性があるものを選びましょう。また、一日中着用する可能性もあることから、肌触りの良さなども見逃せません。

耐久性

厨房には、さまざまな調理器具やツールがあり、多くの人がせわしなく行き交う場合もあります。

ウェアが引っかかってしまったり、接触したりする可能性があるため、耐久性の高い生地であると良いでしょう。

また、火を扱うことが多いため、難燃性が備わった綿素材のものを使用する調理師・コックは多いそうです。

清潔感

食べ物を扱う職業であるため、清潔感は肝心です。

汚れがつきにくく、抗菌性や速乾性などの機能も備わったウェアを選びましょう。

清潔であることは、料理を汚さないためということはもちろん、お店のイメージにもつながってくる要素です。

調理師・コックのユニフォーム雑学

コックのユニフォーム

最後に、調理師・コックのユニフォームにおける雑学をいくつか紹介します。

ネッカチーフ

料理師・コックのなかには、ネッカチーフ、またはコックタイと呼ばれる布を首元に掛けている人がいます。

オールホワイトが多いコックのファッションのなかでもワンポイントとして目立つため、華やかな印象を受けます。

あれはただの飾りではなく、調理中にかいた汗を拭うという役割があるのです。

同じネッカチーフをつける職業でも、CA(客室乗務員)の場合は乗客の保護などが目的だそうですが、調理師・コックにももちろん合理的な着用理由があるのです。

コック帽のプリーツの数で有能なシェフがわかる?

16世紀のフランスでは、コック帽に施されたプリーツの数が、その料理人の卵料理のレパートリーの数を表していたとも言われています。

100位上のプリーツがある場合にはマスターシェフとされていたというエピソードも存在するそうです。

帽子の長さ=地位であるのは、日本だけ?

コック帽の起源の説のひとつに、威厳性を示すためというエピソードがあることは先述しました。

しかしながら、この説の舞台であるフランスにおいては、現在は、実はコック帽の長さはそれほど地位と比例しているわけではないそうです。

エピソードを輸入した側の日本で独自の慣習として広まっている傾向があるというのは、面白い現象ですよね。

お店のイメージやコンセプトに合った仕事服を選ぼう

飲食店のユニフォーム

今回は、調理師・コックの仕事服について解説しました。

調理師・コックと一口にいえども、勤務先や、料理のジャンルによって仕事服に求められる要素は変化します。

清潔感や利便性などの実用性はもちろんのこと、見た目などのデザイン面も考慮することが重要です。

着用環境に合ったものを選び、楽しく快適に業務をおこないましょう。

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