本当は面白い作業服の豆知識 『高視認性作業服』について

作業服の生地や素材について知識を深めることで、自分に合ったウェアが的確に選べるようになります。

「本当は面白い作業服の豆知識」シリーズ、今回取り上げるのは「高視認性作業服」です。

本記事では、高視認性作業服の定義や分類から、想定される活用シーンまで解説します。

高視認性作業服とは?

高視認性作業服とは、その名のとおり、高い視認性を持つ作業服のことです。

着用することで車両の運転者などから存在を視認される確率が高まり、事故やトラブルを未然に防ぐことができます。周囲から見落とされやすい(視認されづらい)環境下や、夜間時に重用されるウェアです。

高視認性作業服は、360°全方向からの安全性を確保するべく、蛍光色の生地や再帰性の反射材を活用して視認性を高める構造となっています。それぞれの効果について、詳しく解説します。

蛍光生地

蛍光色の生地を使うことで太陽の光を強く反射するため、日中における周囲からの視認性を高めます。

多くの高視認性作業服は、イエロー、オレンジ、レッドの3色のうち、いずれかを採用しています。

再帰性反射材

その名のとおり、光の反射原理「再帰性反射」を利用した素材です。

入射光が入ってきた方向にそのまま反射する原理のことで、たとえば車両等のライトが再帰性反射材に当たると、そのまま車両等に反射されます。つまり車両の運転手から視認されやすくなるのです。

リスクレベルで分かれる! 高視認性安全服のJIS規格・3つのクラスについて

2013年に国際規格の「ISO20471」が誕生したことを受け、日本においても「JIS T8127」が作られました。数字の前に付いている「T」は医療安全用具に分類されていることを表します。

JIS T8127は想定されるリスクのレベルに応じてクラス1から3まで用意されており、蛍光素材・反射材の面積、取り付け位置などがそれぞれ規定されています。着用する予定の現場がどのクラスに該当するのかを確認し、それに合った高視認性安全服を導入する必要があります。

面積の規定においては、ウェア上下の組み合わせ合計でクリアできればOKとなっています。たとえば、クラス1の上着とクラス1のパンツを組み合わせることで「クラス2の基準をクリアできている」と判断されます。

以下、1〜3までのクラスについて詳しく解説していきます。

クラス1

リスクレベル

移動体(車両等)の速度が30km/h以下で、作業者は車両の侵入等に注意を払わずにいる状態。そして作業者は移動体から十分な距離を確保できている。

想定される着用場所

  • 駐車場
  • 倉庫作業
  • 工場作業
  • サービスエリア

適応条件

蛍光素材は0.14㎡以上、再帰性反射素材は0.10㎡以上が求められます。

組み合わせ例

・クラス1のベスト

クラス2

リスクレベル

一般道路など、クラス1よりもリスクレベルが高く、移動体(車両等)の速度が60km/h以下であることで、車両の侵入等に注意を払わずにいる状態。移動体の近くで作業する可能性がある。

想定される着用場所

  • 道路上作業
  • 交通警備
  • 清掃収集業
  • 配送業
  • 検針作業

適応条件

蛍光素材は0.50㎡以上、再帰性反射素材は0.13㎡以上が求められます。

組み合わせ例

・クラス1のベスト+クラス1のパンツの組み合わせ
・クラス2のブルゾン

クラス3

リスクレベル

クラス1よりもリスクレベルが高く、移動体(車両等)の速度が60km/h以上で、作業者は車両の侵入等に注意を払わずにいる状態。移動体の速度が著しく高い、もしくは作業者の視界が著しく狭められている状況下。

想定される着用場所

  • 高速道路上作業
  • 線路上作業
  • 空港施設の路上作業
  • 緊急事態活動

適応条件

蛍光素材は0.80㎡以上、再帰性反射素材は0.20㎡以上が求められます。

組み合わせ例

  • クラス2のベスト+クラス1のパンツ
  • クラス3のコート

高視認性の空調服・空調風神服

また、最近では高視認素材の空調服・空調風神服も登場しております。
現場作業は炎天下での作業がつきもの。
業務上、かならず高視認素材の作業具を着用しなければならない方でも涼しく作業を行っていただけるように開発されました。
その中からほんの一部ですがご紹介します。

旭蝶 AS9203


高視認素材を使用した撥水性、帯電防止を兼ね備えたベストタイプの空調服です。
発色性の良いポリエステル100%素材を使用し、高視認性が求められるJIST8127の規格に適合した商品になっております。
急な天候変化にも対応できる利便性も 兼ね備えられており型崩れもせず、洗濯耐久性にも優れている丈夫な空調服になっております。

反射材が裾部分と胴回りの 2か所に1周加工されているので、360度の全方向の角度からの視認性を高められます。ウェアの内側にはバッテリーを収納できるポケットが取り付けられており、かさ張るバッテリーも違和感なく収納する事ができます。

サンエス KF92061


高視認作業服でありながら軽くて、軽量且つ伸縮性に優れたサマー裏綿素材を使用していますので、体の動きにフィットし快適に作業をおこなうことができます。真夏の警備業や夜間作業の仕事をされる企業様に人気のモデルとなています。

安全性を高める反射素材として、自動車のヘッドライトに反射する、ユニチカの再帰性反射材「ユニチカスパークライト」を袖部分、腹部分、腰部分に使用しており、どの方向からの光にも反射可能で、高い視認性を誇り暗闇の中でも安全にご着用頂けます。
また国内仕様の素材ラスパーを使用していますので、伸縮性に優れたサマー裏綿素材で体にフィットし体へのストレスも軽減されます。

旭蝶 AS9207


こちらの商品はJIS規格 JIS8127適合 ISO20471 適合のプロ仕様の高視認タイプのファン付き作業服となっています。

高輝度再帰性反射材を、胴回り、腕周り、肩部分につけられており、360度全方向からの視認性を実現しています。またJIS規格 JIS8127適合において、クラス2に適合しているので夜間の交通量の多い危険な現場などでもご着用いただけます。

高視認性安全服を着用して、リスクの高い環境下でも安全に作業をおこなおう

「本当は面白い作業服の豆知識」と題した本シリーズ、今回は高視認性作業服について解説しました。

高視認性作業服を着用することで、車両の運転者などからの視認性が高まり、事故が起こる確率を大幅に低下させられます。

環境のリスクレベルにより蛍光生地や再帰性反射素材の面積は変わるため、着用予定のシチュエーションをよく考え、自分に適した商品を選びましょう。