コロナ禍・感染症対策で注目された防護服「タイべック」って何?

タイベック

新型コロナウイルスによるパンデミックの影響で、マスクやフェイスシールドなどのアイテムとともに、防護服が注目されるようになりました。
さまざまな企業が防護服を生産していますが、代表的なブランドはアメリカのデュポン社が製造する「タイベック」です。
今回は、防護服・タイベックについて解説します。

防護服「タイべック」とはどんなもの?

タイベック(Tyvek)とは、アメリカの化学企業大手のデュポンが開発した、高密度のポリエチレン繊維不織布です。
「バリア性」「快適性」「耐久性」「省スペース」という4つの特徴を持ち、耐久性と洗浄性の高さが特徴です。ウイルスや化学薬品、放射性粉塵、アスベスト、汚染した血液などに対して高い防護力を誇ることから、防護服や透湿防水シートをはじめ、科学・医療・農業などの分野にて幅広く活用されています。

タイベック防護服の種類

タイベック防護服には、さまざまなラインナップが用意されており、防護したい対象物質や欲しい性能などによって、適切なモデルを選ぶ必要があります。
たとえば、危険度の高い有害物質が蔓延している場合には高バリア性を持つモデル、工場災害の場合には火災や電気アークも防護できるモデルを着用します。
タイベック

防護服の歴史

現代の防護服の原型となっているのは、17世紀ヨーロッパにおけるペストの流行の際に用いられた衣料だそうです。
当時、感染地域にて医療作業などをおこなう人は、長い革のコートを着て手袋を付け、鳥のクチバシを模したマスクを着用するようにしていました。想像すると少し不気味な光景ですが、これが現代的な防護服に続くルーツとなっています。
20世紀に入る頃には、ウイルスは空気や飛沫、粘膜などを通じて感染が拡大していくことが判明していたため、感染地域において医療従事者や兵士は、特殊衣料とフード、マスク、手袋を着用して作業するようになります。
そして1967年、デュポン社がタイベックの開発に成功し、使い捨て式の防護服の素材として使用されるようになりました。

医療現場における防護服の必要性

現在のコロナ禍のように、大規模なパンデミックが発生してしまった場合においても、人の健康や社会機能の維持にかかわる業種は平常時のように業務を継続しなければならないことも多く、感染対策が必須です。
そのなかでも、とくに気をつけるべきなのは、医療現場にて働く方々です。
感染者のもっとも近くで働き、感染者に直接触れる可能性もある仕事であることから、飛沫感染や接触感染のリスクが高いため、特定の業務の際には防護服を着用する必要があります。

コロナ禍で防護服が足りない! 雨ガッパを防護服の代用品に

現在のコロナ禍において、医療現場では防護服の数がいまだに不足してしまっているそうです。
感染リスクが高いなか、私たちのために必死に働いているにもかかわらず感染対策が満足でないという状況をどう解決するべきでしょうか。
実は、代替品として役立つとされているのが、雨天時に身にまとう「雨ガッパ」なのです。
その有効性から、厚生労働省からも代替品として使用を推奨するアナウンスが出され、2020年の4月には、大阪府にて雨ガッパの寄付が呼びかけられました。2021年の2月現在においても、さまざまな自治体や病院で寄付を受け付けています。
最前線でコロナウイルスと闘っている医療従事者のためにも、私たちは積極的に協力していく必要があります。

タイベック防護服の正しい着脱のしかた

ウイルス感染症を防ぐためにタイベック防護服を用いる場合には、正しい着脱方法があります。
以下、装着時と脱衣時の正しいやり方について、それぞれ詳しく説明していきます。

装着方法

1.最初にインナー手袋を装着します。インナー手袋は袖口まで覆うように装着します。
2.靴を脱ぎ、ソックスをズボンにかぶせるように履きます。
3.タイベック防護服を着用します。事前に、破れていないかをチェックします。
4.まずは足を通します。
5.次に腕を通します。ファスナーはすべて閉めず、首の下で止めておきます。
6.靴を履いてシューズカバーを装着します。
7.シューズカバーは裾を覆い、紐でしっかり縛ります。
8.マスクを装着します。2本のゴム紐をまとめて持って頭を通し、その後、1本を耳の上に固定します。
9.フィットテストを行います。マスクの全面を両手で押さえ、強く息を吐き、息が周囲に漏れていないかチェックします。
10.ゴーグルを付けます。あらかじめゴムバンドを調節してからかけます。
11.防護服のフードをかぶり、顎の下までファスナーをしっかり上げます。
12.介助者の手を借りてファスナーカバーを上げます。
13.顎カバーもしっかり上げます。
14.最後にアウター手袋を装着します。
15.きちんと着用できているか、介助者からチェックしてもらう。

脱衣方法

脱衣時には、着用者の防護服にウイルスが付着していると想定し、介助者を用意して2名以上でおこないます。
1.防護服を廃棄するためのゴミ箱を用意します。足を使って開閉できるものであれば理想的です。
2. シューズカバー、アウター手袋をアルコールスプレーなどで消毒し、ウェットティッシュなどで拭き取ります。
3.シューズカバーの紐を解きます。
4.アウター手袋を外します。片方の手袋を裏返しながら外します。裏返った手袋でもう一方の手袋を掴み、同様に裏返しながら外します。
5. 防護服を脱ぎます。危険物質がインナーや皮膚に付かないように、介助者の手を借りて慎重に脱いでいきます。前ファスナーを一番下まで下ろして皮膚や毛髪に触れないよう、フードを外します。
6. 腕を後ろに回して肩から脱ぎ、手を袖の中に入れ、両手をゆっくり引き抜きます。
7.腕を引き抜いたら、表を内側に丸め込むように脱ぎ、シューズカバーごと脱ぎます。
8. ゴーグルを、表面に触れないように外します。
9. マスクを。表面に触れないように外します。
10.最後にインナー手袋を外します。アウター手袋と同様の方法で、裏返しながら外します。
タイベックの使用用途

タイベックは高機能な防護服 ウイルスなどの感染対策に最適です

今回は、米デュポン社が製造販売する防護服「タイベック」について解説しました。
タイベックは、高密度のポリエチレン繊維不織布で作られた、高スペックな防護服です。医療現場や建設資材など、あらゆる分野で活用されています。
しかしながら、コロナ禍の現在では需要が逼迫しており、数多くの医療機関にて数が足りていない状況となっています。
私たちも、代替品になる雨ガッパを送付するなど、できるだけの方法で支援をし、最前線で対応している人たちをバックアップしていきましょう。

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