「温暖化」と「空調服の担う役割」について考える
年々加速する温暖化について
こうした災害が続けば、農業を始めとする一次産業は壊滅的な被害を受け、それによって国内における食料の供給は破綻へと向かうことでしょう。
温暖化が加速している背景には、国際的な工業化による温室効果ガスの排出が挙げられます。毎年莫大な量の二酸化炭素やメタンが先進国を中心として排出されており、これを段階的に削減するため様々な会議や議定書が作成されているものの、目覚ましい成果を見ることはできていないのが現状です。
今や熱中症対策・猛暑対策は企業の義務て
世界的な温暖化による気候の変化により、日本国内でも毎年夏は各地で記録的な猛暑となっています。こうした状況を受け、日本政府は厚生労働省を通じて各企業に対し、福利厚生の一環として従業員への熱中症対策および猛暑対策を講じるよう求めるようになっているのです。
厚生労働省では、熱中症対策に重きを置いており、就業中に発生したと考えられる熱中症の事案件数を公式サイトで公開し、適宜更新しています。また、「STOP熱中症クールワークキャンペーン」など、夏季に合わせた啓蒙活動も積極的に展開し、経営者により高い意識をもって問題へ取り組むよう求めているのも注目できるでしょう。加えて、「暑さ指数(WBGT)」という新たな指針を導入したり、高温多湿作業場所の管理者に対する教育の義務を定めたりして、就業者の健康を守る対策を講じています。ですから、熱中症および猛暑対策は今や、国内に拠点を持つすべての事業者・企業が真剣に取り組むべき義務となっているのです。
そういった企業の熱中症対策の取り組みの1つとして、空調服の導入が近年一般化しています。
皆さん空調服ってご存じですか?
ちなみに皆さんは「空調服」ってご存じでしょうか?空調服とは株式会社空調服が販売しているファン付き作業着の商品名です。ただソニーのウォークマンのように、一般的にはファン付の作業着全般を指して空調服と呼ばれることが多いようです。
まず「空調服」と聞いてどのようなものかをすぐに思い浮かべられるのは、工場や建設現場などで作業に従事しておられる方、もしくは現場作業員への衣料品製作や販売に携わっておられる方々でしょう。一方、現場作業とは異なる分野で働いておられる方たちであれば、この名称を聞いてもあまりピンとこない、あるいはどのようなものか想像できないとしても無理はありません。
空調服とは、換気用の小型ファンを取り付けることで、服の内部に外気を送り込み籠った熱気を放出するシステムを搭載した作業用衣料のことです。送り込まれた外気は汗を蒸発させ、その蒸発に伴う気化熱によって火照った体を冷やすという作用があります。熱い空気は襟もしくは手首からしっかりと排出されるようデザインされていますから、どんどん空気が籠って服が膨らんでしまうという心配はありません。
小型ファンによる排気機構を搭載することで、真夏の炎天下や、換気の良くない現場で働く作業員たちを熱中症から守り、快適に仕事を行うことができるようになります。このサポートアイテムが今、建設現場のみならず、さまざまな業界から大いに注目を浴びているのです。
熱中症対策・猛暑対策 効果がある理由
空調服が熱中症および猛暑対策として効果的と言える理由は2つあります。
体温調整による熱中症予防
1つ目は「着用する人の体を冷やすことができるから」というものです。人体には体内の温度を感知するセンサーがあり、その温度が一定以上になると熱中症として危険信号を発します。熱中症になると、汗による体温の低下作用が体温の上昇に追いつかなくなってしまっているのです。空調服は汗を効率よく蒸発させることで体を冷却することに大きく貢献するため、熱中症のリスクを大きく下げてくれるのです。
仕事効率の向上
2つ目の理由は「仕事の効率を向上させることができるから」という点です。通常の作業着で仕事をする場合、汗の処理や水分補給などで定期的に仕事を中断しなければなりません。一方、空調システムが搭載された作業服であれば、快適な環境で連続して作業に携わることができますから、それだけ仕事の効率が向上します。結果として、より短い時間で必要な作業を終えることができるため、熱中症になるリスクも下がるというわけです。
光熱費削減
このほかに、エアコンや冷房を使う場合と比較して、エネルギー消費が非常に小さいという点も覚えておきましょう。毎日8時間程度連続利用するために充電したとしても、電気代はわずか40円から50円程度です。ですから、温暖化対策へ間接的に貢献することができ、大きな視点で考えても熱中症対策となっていると言えるでしょう。
ファン付きの作業服の製造メーカーについて
ファン付きの作業服を製作・販売している衣料品メーカーは国内に13社あります。それぞれ独自の特徴を持たせることで他との差別化を図っています。例えば、生地に抗菌・消臭効果のある素材を使ったり、バッテリーの性能を上げて長時間連続使用ができるようにしたりといった点が挙げられます。強い日差しが照り付ける中で疲労を軽減するため、生地にUVカット機能を持たせたり、雨の日でも快適に作業ができるよう防水・撥水加工を施したりといった工夫をしているメーカーもあります。
ファンのサイズやデザイン、バッテリーのタイプ・容量などに関しては継続的に改良が進められており、各メーカーとも毎年のように新しい製品を発表しています。メーカーによっては、同じ型番の製品であっても、発表された年度が異なっていて性能に差があるというケースがあるので、購入の際には注意が必要です。
空調服と空調風神服の違いについて
ファン付きの作業服のブランドとして最も有名なのが「空調風神服」「空調服」の2つです・
空調風神服系 ブランド
空調風神服は、事業用衣料メーカーのサンエスグループが手掛けるブランドです。サンエスグループには「ビッグボーン」「コーコス」「ミズノ」などの会社がこの規格を採用しています。空調風神服は業界最高水準の12Vバッテリー高電圧による強風力が人気です。また交換用パーツが数多く用意されているというユニークな特徴があります。また、ファンやバッテリーなどがサンエスグループ内の統一規格なので、他のグループ企業の製品と互換性があるという強みがあります。
空調服系 ブランド
一方、空調服は株式会社「空調服」とそのグループ会社が採用しているファン付き作業服ブランドです。「自重堂」「ジーベック」や「アイトス」などの会社がこの規格を採用しています。これらの企業グループが切磋琢磨して素材やファン、モバイルバッテリーの機能改善を図ってきた結果、市場規模の拡大に大きく貢献してきたのです。
ファン付きの作業服のこれから
健康を守るためのアイテムとして空調服の果たす役割はますます大きくなっていくでしょう。実際、屋外や換気の悪い場所で働く人にとっては既に必須アイテムとなりつつあります。ですから、継続的な成長が見込めるこの分野において、さらに機能の改善および向上が図られていくと期待できます。市場シェアがさらに拡大して海外における注目度がさらにアップしていけば、国際的な規格の統一なども行われていくことでしょう。
まとめ
温暖化による気候変動が突如劇的に改善するということは難しいでしょう。ですから、屋外や工場などで作業する人たちは作業環境に合わせた対策を講じることが必要となります。経営者や事業者はこうした変化をつぶさに観察して、働きやすい環境を提供するために空調服の導入などを真剣に検討することが大切です。