あらためて考えてみる2022年 企業にとってのSDGsとは?

人類の恒久的な幸せと持続的な地球環境を作っていくため、国連によって定められた「SDGs」。

2030年までにSDGsをすべて達成するためには、国や団体、個人だけではなく、企業の協力も必要になります。

本記事では「企業にとってのSDGs」について考えてみました。

あらためて、SDGs(持続可能な開発目標)とは?

昨今、SDGsという言葉を耳にする機会が増えてきました。

いま一度あらためて説明すると、SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略語であり、2030年までに世界が達成するべき持続可能な開発目標のことです。2015年9月に開催された国連サミットで採択されました。

「環境」「貧困」「健康」など17項目のゴール目標と具体的に働きかけるべき169のターゲットにわかれて構成されています。

企業の社会的責任

SDGsの関心が高まっているワケ

なぜ今、これほどまでにSDGsの関心が世界的に高まっているのでしょうか?

その理由としては、人口増加や社会・産業の発展により、地球環境の持続性が危ぶまれていること。そして貧困や社会的な不公平、紛争などが生まれていることが挙げられます。これらの諸問題を将来世代に先送りして負担を被らせず、長きにわたり社会を安定運営していくため世界規模で協力しあわないといけない時が訪れたからです。

SDGsのようなテーマは昔から議論され続けられてきておりましたが、これまでの場合は国家やNGOなどが主体となる取り組みが多く、個人一人ひとりが当事者として向き合いにくいという問題がありました。

そこでSDGsでは民間企業にも取り組みを求めるようにしました。企業側としてもSDGsに正面から向き合うことで、みずからのブランド価値を高められるというインセンティブが生まれます。ESG(Enviroment・Society・Guvernounce)への取り組み状況を企業評価の物差しとして投資をおこなう「ESG投資」が広まってきていることも後押しとなっているかもしれません。

SDGsに貢献することで企業価値が高まり、長期的に企業側の利益にもなるため、SDGsを謳う声がここまで大きくなったというのが背景ではないでしょうか。

CSR(企業の社会的責任)

企業活動において、SDGsと似たような概念に「CSR」というものがあります。

CSRとは、「Corporate Social Responsibility」の略語で、「企業の社会的責任」という意味の言葉です。利益の一部を社会に還元し、私たちが共に暮らす地球に貢献するべきという考え方です。

SDGsという言葉が登場する前、企業が意識するべきはこのCSRでした。すでにさまざまな企業がこのCSRを意識した行動を取っているはずです。

CSRは「社会を良くするためのボランティア」であるのに対して、SDGsは「事業を用いて社会をより良いものにする」という考え方となっており、違った概念となっています。

CSV(共通価値の創造)とは?

またCSRと近しい言葉として「CSV」というものもあります。SDGsやCSRに比べると、少し聞きなれない言葉かもしれません。

CSRとは「Creating Shared Value」の略語であり「社会の問題を解決できるような共通価値を作っていこう」という趣旨の概念です。企業は自社の利益を追求するだけではなく社会全体に共有できる価値を生み出そう、という考え方ですね。CSRが寄付やボランティアなど事業外の活動も含めるのに対して、CSVは「本業で社会に共通価値を創り出そう」という違いがあります。

SDGsを達成するための具体的な行動としてCSRやCSVが存在する、という考え方もできるかもしれません。

製造業が取り組むべきSDGs

企業の社会的責任

資源を使って製品を生産し、人間を多く雇用する製造業において、SDGsは避けて通ることはできません。SDGsが掲げる17つのゴールのなかでも製造業が特に意識するべきは以下の項目群で、解決するために具体的にとるべき行動例と共にご紹介いたします。

飢餓をゼロに

  • 飢餓で苦しむ人々をなくし、誰もが一年中安全で栄養のある食料品を手に入れられるようにする
  • 食料の生産性と生産量を増やし、同時に地球環境や生態系を守り、災害にも強く持続可能な土壌をつくる
  • 開発途上国での農業生産量を増大させるために、必要な施設や研究、技術開発を提供・支援する

産業と技術革新の基盤をつくろう

  • 災害に強く、質の高いインフラストラクチャーをつくる
  • 資源を無駄なく使用して、環境にやさしい生産方式をより多く取り入れ、産業を持続可能なものにする
  • 開発途上国の技術発展やイノベーションを支援する

働きがいも経済成長も

  • 技術の向上やイノベーションを通して、商品やサービスの生産性を上げる
  • 世界が効率よく資源を使えるように、そして経済成長が環境を悪化させることのようにする
  • 同一労働同一賃金の推進や、性別・障害などにかかわらず、働きがいのある人間らしい仕事をできるようにする

つくる責任つかう責任

  • 生産工程で排出される廃棄物を削減・リサイクルできるようにする
  • できるだけ長い期間にわたって使用できる製品をつくる
  • 製品の生産・流通におけるエネルギー消費の効率を高める

製造業に属する企業は、上記の項目群を意識して行動することで、地球環境と人類の未来に対して大いに貢献できることでしょう。

社会的な価値を意識した経営を

関心が高まっているワケ

企業とSDGsの関係性について解説しました。

持続可能な地球環境と人類社会の恒久的な幸福を実現するためにも、企業が果たす責任は大きいはずです。

企業も個人も真摯にSDGsに向かい、私たちの未来を輝かしいものにしていきましょう。