プロが教えるヘルメットの選び方?

頭部を守るための安全防具であるヘルメットですが、使われるシーンは様々あり、自転車やオートバイに乗る時にかぶるものや作業現場で使用するものなど多種多様です。
今回は、作業現場で使用する産業用ヘルメット(保護帽)についてご紹介させて頂きます。
産業用ヘルメットの中でも、作業環境や転倒や落下に備えるのか、落下物に備えるのかによって変わってくるものなど様々です。作業員の安全を守るため、ヘルメットのことをよく知った上で選んでいく必要があります。

ヘルメットの構成部品

ヘルメットは大きく分けて5つの部品で構成されており、これら一部でも性能が低下すれば、危険を防止、軽減することができなくなります。

Crubo

帽体

頭部を覆い保護する殻部材質が様々あり、作業に適したものを選ぶ必要があります。蒸れるからといって勝手に穴を開けたりすると危険です。その場合は「通気孔付き」を選ぶ必要があります。

衝撃吸収ライナー

帽体に衝撃が加わった際に頭部を伝わる衝撃を緩和するための部品。
墜落用には必ず帽体とハンモックとの間に衝撃吸収ライナーが入ります。これで更に衝撃の吸収力を高めます。勝手にライナーを取ってしまうと墜落用としては使えませんのでご注意ください。

ヘッドバンド

頭周りに合わせてサイズを調整し、帽体と頭部を固定させる部品です。
二重のヘッドバンドでサイズを調整し頭に合わせます。上で頭の大きさに合わせ、下で上下のぐらつきを防ぎます。

ハンモック

保護帽を頭部に保持するための部品です。帽体と頭部との間に十分な空間を作り、衝撃吸収に重要な役割を持ちます。
帽体のときと比べると約40ミリの空間とハンモックの効果で衝撃を10分の1に緩和してくれます。大切な部分のため、1年を目安に取り替えが必要です。

あごひも

保護帽と頭部全体を固定しヘルメットの脱落を防止します。
「遊び」があるとイザというときに役に立たない恐れがあります。

衝撃吸収のメカニズム

衝撃をヘルメット全体(ボウタイと衝撃吸収ライナー及びハンモック)で柔らかく受け止めて頭に伝わる衝撃を最小限で食い止めます。

第一段階 ハンモックが伸びる

帽体とハンモックの間に充分な隙間が設けられていますので、ハンモックが伸びて衝撃を吸収します。

第二段階 帽体がひずむ

帽体がひずんで衝撃を受け止めます。ライナーが内装されているとより大きな衝撃を吸収できます。

第三段階 帽体の復元

衝撃を受け止めた後、帽体が元の形に戻ろうとします。

ヘルメットの使用区分

ヘルメットは使用区分によって、構造・機能が異なります。作業内容にあった適切なヘルメットを選ぶ必要があります。

  • 使用区分:飛来落下物用
  • 構造:帽体、装着体及びあごひもをもつもの。
  • 機能:飛来物、飛来物又は落下物による危険を防止又は軽減するためのもの。
  • 使用区分:墜落保護用
  • 構造:帽体、衝撃吸収ライナー及びあごひもをもつもの。
  • 機能:墜落による危険を防止又は軽減するためのもの。
  • 使用区分:飛来落下物用・墜落保護用
  • 構造:帽体、装着体、衝撃吸収ライナー及びあごひもをもつもの。
  • 機能:飛来物、飛来物又は落下物による危険及び墜落による危険を防止又は軽減するためのもの。
  • 使用区分:飛来・落下物用電気用(使用電圧7000V以下)
  • 構造:帽体、着装体およびあごひもをもつもので、帽体が充電部にふれた場合に感電から頭部を保護できるもの。
  • 機能:飛来物または落下物による危険を防止または軽減し、頭部感電による危険を防止するためのもの。
  • 使用区分:飛来落下物用・墜落時保護用・電気用(使用電圧7000V以下)
  • 構造:帽体、着装体、衝撃吸収ライナーおよびあごひもをもつもので、帽体が充電部にふれた場合に感電から頭部を保護できるもの。
  • 機能:飛来物または落下物による危険および墜落による危険を防止または軽減し、頭部感電による危険を防止するためのもの

素材で選ぶヘルメット

FRP(ポリエステル樹脂をガラス繊維で強化したもの)

一番良く流通しているヘルメットの素材になります。耐熱性が高く、輻射熱や火花が飛ぶ作業の際におすすめです。また、雨などの影響も受けづらい特徴があります。電気に対してはあまり効果がないため、電気の工事などの際には別の製品を選ぶ必要があります。

ABS

耐電性能に優れており、電気工事などの業種によく採用されています。高熱環境での使用には不向きです。

PC(ポリカーボネート)

ABSより光、熱、水などの耐候性に優れてますが、溶剤、薬品には耐性がないため、他の商品を選ぶ必要があります。

PE(ポリエチレン)

有機溶剤系の薬品に耐性があり薬品を使う現場におすすめです。耐熱性がないため、火を扱う現場では使用を避けたほうが良いです。

注目の高機能ヘルメット

発泡ライナーがないヘルメット

これまでのヘルメットには墜落保護のため、発泡スチロール製の衝撃吸収ライナーがセットされていましたが、発泡スチロールが頭部の空間を塞ぎ、断熱性能が高い素材のため、夏場は「暑い」「ムレる」また、汚れが付着すると落ちにくいとうデメリットがありました。
これを解消するために開発された商品が発泡ライナーのないヘルメットです。
各社様々出ておりますが、2商品を紹介させて頂きます。

エアライト(谷沢製作所)

日本で初めて発泡ライナーがないヘルメットで墜落時保護用の検定を取得した商品です。
ヘルメット内部、前後左右にプラスチックで出来たブロックライナーが配置されており、ブロックライナーが潰れることで衝撃を吸収します。風の通りを塞ぐ発泡ライナーがないため、風が頭頂部まで入り込み熱や湿気を排出するため、ムレにくい構造になっています。
直接水洗も可能なため、衛生的です。

エアロメッシュ(DIC)

Crubo
発泡ライナーを樹脂製メッシュ構造に変えた商品になります。
エアライトと同様に検定に合格した発泡ライナーと同等の衝撃吸収性能があります。
こちらも風の通りがよく、水洗いができるためヘルメットを清潔に保つことが出来ます。

防災用、現場に行く機会のあるビジネスマンの携帯用として採用されているコンパクトに収納できるヘルメットです。

Crubo(谷沢製作所)

Crubo
ヘルメットの帽体に上半分が回転することにより高さが約半分になり、小さく収納することが出来ます。
「飛来・落下物用」と「墜落時保護用」の検定に合格した、性能も確かなヘルメットです。

IZANO(DIC)

IZANO
ヘルメットの帽体を3段に折りたたむことで小さく収納できるヘルメットです。
こちらも「飛来・落下物用」と「墜落時保護用」の検定に合格しておりますので、現場や少しの高所作業でも使用が出来ます。

購入前にヘルメットの構造を理解しましょう

使えれば大丈夫と思い、昔から使っているヘルメットも日々進化しています。
作業用ヘルメットは種類が色々あり迷ってしまいますが、作業内容や現場の環境によって選ぶと作業を快適にすることもできるヘルメットを見つけることが出来ます。
丸十服装では様々なヘルメットを取り扱っております。ぜひカタログ請求して最新、最適なヘルメットを見てください。

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